トレードオフという言葉があります
一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のことだそうです
身近な例であれば、ショップのポイントカードやデパートの友の会などは、利用可能なお店を限定することにより得られるメリットです
ここでのトレードオフとは、割引等特典を受けることの引換に、他のお店でのメリットのチャンスを失うことです
例えば、今話題のNISA口座も、口座内での利益は非課税というメリットを享受できますが、同じ口座内で発生した損失については利益と相殺するという他口座で可能なルールが適用になりません
確定拠出年金にいたっては、積立時、運用時、受け取り時の税制優遇が受けられる代わりに、60歳まで引き出しができないという不便を強いられます
つまりある特定のメリットを享受しようと思えば、そのためのルールを理解しないといけないということになります
(あまりにも当たり前のことですが・・・)
特にライフプランを実現しようとした時には、通常の金利以外の利益の源(時間をかけてリスク分散をするとか、税制優遇を活用するなど)をいかに活用するかが大切になります
個人の資産運用においては、ただ漠然としたお金を増やしたいと考えがちですが、トレードオフのルールを踏まえ、お金を4つに分類しそれぞれに適した金融商品を見極める必要があります
【お金の4分類】
1、使うお金:普段使うお金です 生活費の2~3ヶ月程度の残高をキープします
いざというときにすぐに引き出しが可能なことが第一の条件です⇒ 適した金融商品は銀行の普通預金口座
2、貯めるお金:5年から10年以内を目安に使う予定のあるお金です
目的別に今の残高から当てられるお金と今後の積立目標を決めます
例えばお子さんの大学資金用に10年後に500万円であれば、今の貯蓄残高300万円のうちの200万円と今後積立で準備する300万円の積立計画 月々25,000円と決めます
リスクが低く、スケジュールどおりにお金が貯まることが大事です ⇒ 適した金融商品はネット銀行の定期預金や国債や社債、財形などの債券
3、殖やすお金:10年以上先に使う目的があるお金です
目的別に今の残高から当てられるお金と今後の積立目標を決めます
例えば、老後資金として30年後の2500万円であれば、今の貯蓄残高300万円のうちから教育資金を除いた100万円と今後積立で準備する2400万円の積立計画 月々65,000円と決めます
こちらは多少リスクをとって、利回りが期待できる商品が選択肢です ⇒ 適した金融商品は、投資信託や貯蓄性の高い保険など
確定拠出年金もこのカテゴリーに入ります
4、守るお金:死亡、病気、怪我などでの経済的損失に備えるお金です
必要な保障額を見積もり、それに見合う金融商品を準備します ⇒ 適した金融商品は、保険です
同じカテゴリーに複数の選択肢があれば、金融商品どうしを比較検討します
例えば、貯めるお金であれば、銀行の定期預金の金利を比較します(平成25年9月24日現在)
※銀行預金金利の一例です、推奨というわけではありません
ソニー銀行 0.2%
オリックス銀行 0.27%
SBJ銀行 0.35%
定期預金ですから、どこの銀行もペイオフ対象として1,000万円の元本とその利息は保護されます
万が一のセイフティネットの条件は同じですから、金利の良い銀行の方が預金者にとってはメリットが大きいことになります
殖やすお金であれば、投資信託と確定拠出年金を比較することも可能です
確定拠出年金では、積立額そのものが所得税の対象となりませんが、投資信託にはこのメリットがありません
確定拠出年金では、投資対象となる運用商品の数が限定されていますが、投資信託は数千という選択肢の中から投資先が選べます
確定拠出年金で投資信託を購入しても販売手数料(通常3.15%)がかかりませんが、投資信託は商品によって手数料がかかるものとかからないものがあります
確定拠出年金は積立額に上限が設けられていますが、投資信託は積立であっても一括であっても投資額に上限はありません
確定拠出年金は原則60歳まで引き出しができませんが、投資信託は自由に解約が可能です(一部制限があるものもあり)
などが特徴として挙げられます
金融商品はそれぞれに、得意不得意があるのです
金融商品の適材適所を理解し、上手にお金と付き合う必要があるのではないでしょうか?